2019年07月10日

鐘の祭

鐘の祭
Fête Carillonnée( Scampanio festoso)(1906)
アンリ・ゴアール 作曲 アルベルト・ボッチ 補筆
Henri Gouard( Ca.1880〜) / Elab. Alberto Bocci


 作者はフランスの作曲家で、フランスのオセールのサン・ピエール教会のオルガニストであった。パリの国立音楽院でDuprato、Lavignac、Marty、Pugnoらに学び、1896年に対位法とフーガを修め、1900年には作曲家協会でプルミエ・プリを受けた。作者自身はマンドリンを演奏しなかったが、マンドリンのための作品は本曲の他、U.M.L.のコンクールで第1位を受賞した三重奏のための子守歌セレナーデが存在している。
 本曲は1906年のIl Plettroの第1回国際作曲コンクールの第2項の「ボレロ、前奏曲、間奏曲、セレナータ」の部門において文部省の芸術賞を受賞している。同時の受賞作として、A.Amadeiの「イ調のミヌエット」(大銀牌)、E.Redeghieriの「スペイン風幻想曲」(銀牌)、G.Mantenteの「秋の夕暮れ」(銅牌)、U.De Martinoの「月ありき」(銅牌)がある。コンクールの当初の告示では第1項(マンドリン讃歌)は大金牌、大銀牌、賞状、それ以外については金牌、銀牌、銅牌、賞状が賞品であるとされていたが、結果的にはこれらは入れ替わったようである。文部省芸術賞がメダルの賞よりも上であるのはイメージしづらいが、第2回のコンクール告示のカテゴリーCは1位が文部省芸術賞、第2位が銀牌とされているため、第1回コンクールでも文部省芸術賞は第1位と解するべきものと考えられる。なお、コンクールの第2項の締め切りは1906年8月末であった。
 本曲はIl Plettroの1908年3月に掲載された他、1931年にも再掲載された。Il Plettroの初期の号には本曲が推薦曲として度々紹介されていた。本日演奏する楽譜は、後年にA.Bocci氏が補筆したものである。原編成の2マンドリン、マンドラ、ギターに加えてマンドロンチェロとベースが追加されている他、第2マンドリンは2つに分割されてかなり音が足されている。
 題名のFête Carillonnéeとはローマカトリック教会の大規模な祭典で、その最後にはカリヨン(鐘)が鳴らされる。題名に付されているイタリア語の「Scampanio festoso」は、祭りの(陽気な)鐘が鳴り続ける音という意味である。
 曲は三部形式による。イ長調の主部は鐘を模したオスティナートが鳴り響く音楽であり、最初にマンドラで提示されたオスティナート
上に旋律が移ろう。ホ長調の中間部はQuasi misticoと記されており、緩やかで幻想的な音楽である。


解説:清田和明
参考文献:Maîtres contemporains de l'orgue( オルガン作品のアンソロジー) のバイオグラフィー、Il Plettro, Anno III, No.5 (1908)、同志社大学マンドリンクラブ第132 回パンフレット、オザキ譜庫マンドリン楽譜目録、中村泰彦作成 Il Plettro 出版目録、ウィクショナリー フランス語版 https://fr.wiktionary.org/wiki/fête_carillonnée
posted by コンコルディア at 12:57| Comment(0) | 47th定演曲目解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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