2019年07月10日

マンドリン讃歌「プレクトラム」

マンドリン讃歌「プレクトラム」
“Plectrum”, Inno Mandolinistico op.224(1906)
アメデオ・アマデイ 作曲
Amedeo Amade(i 1866.12.9 Loreto ~1935.6.16 Torino)

 作者はイタリアの作曲家、指揮者。三代続いた音楽家の家系で、最初は父ロベルトに音楽を学んだ。その後ボローニャのアカデミア・フィラルモニカでピアノ、オルガン、合唱指揮を学んだ。1889年以降は各地の軍楽長を歴任し、退役後はトリノで作曲家として活動した。作品は多岐に渡り約500曲を数えるが、マンドリン合奏のためにも90曲を超える作品を残している。舞曲調の小品を中心とした作風はイタリアマンドリン音楽初期の典型であるが、アマデイのそれは簡素にして最大限の演奏効果を上げるオーケストレーションにより、ひとつの完成系を見出したと言える。
 本曲は1906年のIl Plettroの第1回国際作曲コンクールの第1項「マンドリン讃歌(Inno Mandolinistico)」の部門に応募され、第1位の大金牌(Grande medaglia d’oro)を受賞した。応募規定は「平易な調性と単純な形式の行進曲風テンポを有する2つのマンドリン、マンドラ、ギターのための作品」であった。アマデイはこのとき、第2項の「ボレロ、前奏曲、間奏曲、セレナータ」の部門においても「イ調のミヌエット」で大銀牌を受賞しており、1908年告示(1909年に締め切り)の第2回国際作曲コンクールにおいてはカテゴリーA「序曲、組曲」の部門において「船乗りの組曲」が第1位の大金牌を受賞している。
 Il Plettroの出版案内によると、本曲はピアノソロと付随するマンドリン、2つのマンドリン、2つのマンドリンとマンドラや、マンドリンソロとギター、2つのマンドリンとギター、2つのマンドリンとマンドラとギター(原編成の四重奏)など様々な編成の楽譜が出版されたようである。原編成の楽譜は1906年の8月にIl Plettroに掲載され、後年1933年にもパート譜が掲載された。本日演奏に用いるのはIl Plettroの出版譜を元に、松本譲氏による低音補筆を加えたオザキ譜庫発売の楽譜である。本曲の作品番号は224と記載されているが、1907年に作者が主幹を務めていたVita Mandolinistica誌で発表された「セレナテラ」にも同じ作品番号224が与えられている(1926年に改訂、改題されて「マッティナータ(朝の歌)」としてIl Plettroに掲載されたときにも同一の番号が記載されている)。アマデイの他の楽譜でも複数の小品に同一の作品番号が与えられている例があることから、これらの曲は一括りのものとして作曲されたのかもしれない。
 標題の「プレクトラム」は撥弦楽器の演奏に用いるピックを意味する英単語である(イタリア語ではPlettro)。本曲は各地のコンクールで演奏され、特に1906年にコモで開催されたコンクールでは、作者の指揮により500人を超える演奏者で演奏されたという。
 曲はA-B-A’-C-A-Codaの小ロンド形式で、主題Aはト長調、第1エピソードBはイ長調(属調)、第2エピソードCはハ長調(下属調)であるが、第1エピソードは調号を変えずに書かれている(アマデイの他の楽曲でも見られる書法である)。主題はマンドリン族の和絃奏法を用いた華やかなもので、メロディアスなエピソードと対比がなされている。中間の再現A’では低音に8分音符の動きが加えられ一層力強く歌い上げられる。
解説:清田和明
参考文献:
Il Plettro, Anno I, No.1 (1906)( イルプレットロ創刊号) のコンクール告示
その他Il Plettro およびVita Mandolinistica 各号
中野二郎著「いる・ぷれっとろ」http://vinaccia.jp/nj-collect/
posted by コンコルディア at 12:32| Comment(0) | 47th定演曲目解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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