2016年06月10日

シンフォニエッタNo.5

マンドリンオーケストラの為のシンフォニエッタNo.5
(1977)
大栗 裕
Hiroshi Ohguri (1918.7.9 Osaka〜1982.4.18 Osaka)

I. Allegro
II. Andante
III. Allegro molto

 作者は生涯を関西を中心とした日本音楽界の為に捧げた日本のクラシック音楽史上の大功労者。朝比奈隆に師事し、1941年旧東京交響楽団にホルン奏者として入団したのを皮切りに、多くの楽団に在籍、大阪音大講師に就任した。「浪速のバルトーク」の異名を誇り、日本人の土俗的かつ原始的な感情に根ざした作風でオペラ、管弦楽曲、吹奏楽曲等、多くの分野で作品を残した。1958年に大阪府芸術賞、1991年に日本吹奏楽アカデミー賞を受賞。没後30年に当たる昨年には記念演奏会などが多数催された。
マンドリンオーケストラのためにはシンフォニエッタを始めとした純器楽のほか音楽物語、ミュージカルファンタジー等を多数残しており、その総数は約40曲にも及んで作者の作品の中でも多くの割合を占めている。最近、大栗裕記念会により、ティーダ出版から作者の作品のファクシミリ版が出版されており、第1弾として本曲とシンフォニエッタ第6番「土偶」が頒布されている。
 大栗のマンドリンオーケストラのためのシンフォニエッタは7曲(及び編成違いのサブナンバー1曲)が作曲されており、ソナタ形式等を用いた3楽章の形式を雛形としながら作曲者の音楽性が表現されている。今回取り上げるシンフォニエッタ第5番は、1977年に関西学院大学マンドリンクラブにより初演された。
 シンフォニエッタのシリーズの前後作が標題を有しているのに比して、本曲は標題を有しない絶対音楽として書かれている。シンフォニエッタ第2番はごく短期間で急遽作曲され、第3番と第4番は着手時にはシンフォニエッタとして企画されなかった可能性があることを考えると、本曲でシリーズの原点に立ち返るような意味合いが持たされたのかもしれない。標題音楽として書かれた前後作においては楽章間の関連性が標題上の重要な意味をもたらしているが、本作ではそのような仕掛けは薄く、楽想によって率直に音楽が表現されている。
 

参考文献:日本の作曲家―近現代音楽人名事典(日外アソシエーツ, 2008)、マンドリンオーケストラコンコルディア第26回定期演奏会パンフレット
posted by コンコルディア at 06:08| Comment(0) | 44th定演曲目解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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