2016年06月07日

序曲「祖国への愛」

序曲「祖国への愛」
Amor Patrio, ouverture (1913)
フランチェスコ・アモローソ
Francesco Amoroso (1877 Salerno 〜 1916 Napoli)

 作者はイタリアの作曲家、吹奏楽指揮者。13歳でトロンボーン奏者としてナポリの音楽院に入学し、ピアノや作曲も学んだ。卒業後軍楽隊に配属され、駐屯地のボローニャの音楽院で作曲を学んだ。1903年に軍楽長に選出され、各地で指揮者として活躍した。作曲家としては歌劇、管弦楽曲、吹奏楽曲、ピアノ曲、歌曲など多くの分野で作品を残している。マンドリンのためにもピアノまたはギター伴奏のマンドリン独奏曲を中心として作品があり、中でも演奏会用ポロネーズは名作として著名である。
 本曲は石村隆行氏がイタリア留学前に中野二郎氏から「なんとか探し出してほしい」と依頼され、現地で発見した作品である。1913年にジェノヴァのEditoria Musicale Genovese主催の第2回国際作曲コンクールに入賞し、同年Arte Mandolinistica誌から出版された。Arte Mandolinistica主幹のAngelo Cigliaに献呈されている。 
本曲は、外形上は序曲らしい序奏付きの展開部の無いソナタ形式による。しかしながら、序奏と主部の主題の関連性、主題間の動機の共有、形式上の順序と調性設定などから、外形上の形式に反して多義的で重層的な構成を有している。荘厳な序奏、軽快な第1主題、メロディックな第2主題と、器楽合奏曲の魅力をコンパクトな序曲に詰め込んだ名作と言えよう。
 曲はMaestosoの序奏から始まる。序奏は2つの要素からなり、1つ目は3度上-4度上-2度下の音型とリズムを特徴とするもの(以降Aと呼ぶ)、2つ目は2度上-2度下の音型を特徴とするもの(以降B)であって、A-B-A-Bの順に奏される。主部の第1主題はAllegro giustoで、ホ短調で提示される。第1主題前半は序奏のBの要素(伴奏のリズムのみAの要素)、後半は序奏のAの要素を用いている。第2主題はト長調で提示される。前半はModeratoで新たな要素により、後半はPiù mossoで序奏のAの要素を用いている。序奏の一部を再現した後、主題の再現が行われる。第1主題の再現はイ短調で、主調と異なる調での再現であることが特徴である。一方、第2主題の再現はホ長調で、型通り同主調である。第2主題後半が再現される前に第2展開部的な部分があるが、ここでは第1主題の要素たるAとBが同主調であるホ長調で奏され、ソナタ形式の調性上の再現を補強している。第2主題後半の再現の後、要素BとAを用いた結尾句で締めくくられる。


参考文献:
アルバム フィロドリーノ2 (石村隆行)
posted by コンコルディア at 05:29| Comment(0) | 過去の定演曲目解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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